インチキワクシング2009


*アイロンはコールドパウダー類は130度、あとは全部100度。

*「剥がす」とは、ホットスクレーピング→ちょっと冷やす→ブロンズブラシ

*ブラッシングは10回。

*滑走性を損なわずにどこまで手抜きできるかを追求しています。

*ワクシング時にはガスマスクを装着することをお勧めします。パラフィンワックスでも肺の機能が一時的に損なわれます。フッ素ワックスであれば命に関わるかもしれません(撥水スプレーの事故と同じメカニズムです)。ワックスルームで他の人と一緒に作業する場合は、ワックスルーム入室前に着用し、ライバルに馬鹿にされたり、鼻の頭が痒くなったり、鼻水が出て口の周りがべろべろになったりしても、ワックスルームを出るまでは決して外してはいけません。同様に、スキーショップに何かを買いにいっても、ワックスの匂いが漂っていた場合は、その日はあきらめて即刻帰宅するか、息を止めて急いで買い物を済ませた方がいいでしょう。


ベースプレップ

購入時、ストーン後はベースワックス→剥がすを最低1回。滑走ワックス→剥がす→ナイロンブラシ。

毎年夏に柔らかいものから硬いものまで30回くらいワクシングするマニアがいるがしなくてよい。

ここで言うベースワックスとはベースバーン防止とクリーニングのためのワックスで、アルペンで激しく乗る体重の重い人はたぶんCH3、クロカンでほんのちょっと乗るだけの子供なら滑走ワックスで十分である。硬いほうから滑走ワックスまでの範囲で試していってベースバーンの気配を見つけたらその直前の硬度にするのが楽でよい。色んな条件で変わるので、安全側で考えるならそのもう一つ前がいいかもしれない。もちろん、滑走ワックスより柔らかくしてはいけない。私の場合アルペンはCH4、クロカンはCH3。

ここでいう滑走ワックスとは雪温にあったパラフィンワックス。気温はある程度天気予報でわかるが、雪温はそれまでの気温の履歴やコース上の位置、時間、日照等によっても変わる。レースは別として、練習は特に寒いこと(CH4)や暑いこと(CH10)がわかっている場合を除いて全温度対応ワックスが楽である。


シーズン初めの滑走前

  • 何もしない。どうしても気になる場合は滑走ワックスをかける→剥がす→ナイロンブラシ。

    ある日の滑走終了後の翌日以降のトレーニング滑走の準備

  • ベースワックス→剥がす→滑走ワックス→剥がす→ナイロンブラシ。

    *硬いベースワックスが不要の場合(子供など)は、雪のきれいな北海道であれば、究極の手抜きとしてベース・滑走を兼ねた滑走ワックスの1回塗りも可

    *削りかすが汚れている場合は、きれいになるまでベースワックス→剥がすを繰り返すか、あきらめてリムーバーを使う。リムーバーが完全に乾いたらベースプレップ。


    ある日の滑走終了後の翌日以降のレースの準備

  • クロカン:ベースワックス→剥がす→滑走ワックス→剥がす→各社低フッ素ワックス→剥がす→ナイロンブラシ。

  • アルペン:ベースワックス→剥がす→滑走ワックス→剥がす→各社低フッ素ワックス→(湿度、気合、財布の状況により剥がす→各社高フッ素ワックス→)剥がす→ナイロンブラシ、たとえば左右を逆に履いてアップ・インスペ後、各社フッ素100%パウダー、ペースト、液体フッ素等気の済むまで現地で仕上げ作業。

    *滑走ワックスはもちろん雪温に応じて選ぶべきであるが、当日コース上の数点で雪温を実測してワクシングするなど実際問題無理だし、測定からスタートまでにだって変わるはずだ。そこで、やむを得ず気温で選択する。そのためにはまずYahoo!等の天気予報で気温を予測する。スキー場の天気というのもあるが、スキー場のどこかわからないので、スキー場の位置する地域の天気予報でよい。それに標高で100 mあたり0.65度引く。アルペンなら予想スタート時刻、スタート・ゴールの標高、斜面の向きなど、クロカンならスタート・ゴール予想時刻、最高点・最低点標高で、気温の幅を予想する(日陰だと雪温が上がらないので最低気温もカバーしたほうがいいかもしれない)。気温幅をカバーするようにワックスは混ぜて使う。たとえば、-8〜+2度が予想された場合に、-10〜-4度、-4〜+2度を混ぜて使うといったように。あるいは、予想された気温幅が大きく、あまり低温でなければ全温度対応ワックスを使ってしまうのも手である。スキマラは最高点で250 mなので最低気温は平地に比べて−1.6度(−2度でいい)引く。

    *フッ素:雪の湿り気は手袋を履いた手で雪玉を作って判断できる。水がしたたり落ちるのがシャバシャバ。簡単にできるのがベタ雪。雪玉ができるがすぐ壊れるのが乾燥雪。雪玉ができないのが極度に乾燥した雪。暖まると判断が狂うので瞬時に判断する。しかし、前日以前にワクシングするなら天気予報の気温と湿度から当てずっぽで予想するしかない。

    *上記はスキー1台しか持って行かない人のための話。お金と気合のある人はもちろん2台でも4台でも持って行ったほうがよい。天候の急変に備えて高温用と低温用に仕上げておけば万全。


    シーズン最後の滑走後

  • ベースワックス→剥がす→来シーズン最初の滑走ワックス→剥がす→ナイロンブラシ
    または
  • 何もしないでストーンに出す(諸事情によりどうしてもストーンに出したい場合。帰ってきたらベースプレップ)

    ベースバーン

    ベースバーンとはエッジ際の滑走面が真っ白けになることをいう。これは雪面との摩擦により生じたポリエチレンのケバで、光を乱反射しているので白く見える。ベースバーンになると滑れば滑るほど滑走性が悪くなって最悪である。ワクシングしないで何日も滑ったり、滑走後に柔らかいワックスでクリーニングしてしまうと起きる。万が一ベースバーンしたらブロンズブラシで白いケバを全て取り除く。ブロンズブラシで取れないくらいひどければサンディングするかストーンしないと直らない。

    よく誤解されるが、夏に30回くらいワックスをかけようが、サーモバッグに入れようが(N. S.なる札幌の有名なショップでプロの手によりサーモバッグに入れてもらい(おそらくTOKOの)イエローをたっぷりしみこませた新品クロカンスキーがたった一日の滝野でベースバーンしたのを確認済)、ベースバーンするときはする。それは、柔らかいワックスが染み込んでいるからである。柔らかいワックスが染み込んでいると、硬いワックスをかけてもスクレーピングのときに柔らかいワックス部分でワックスがせん断され、なかなか硬いワックスに置き換わらない。ワックスが消耗している段階(購入直後・ストーン直後・滑走後・リムーバー後)で硬いベースワックスをがっちりかければ1〜2回しかワクシングせずとも、震えるくらい寒い車庫でワクシングしようが、滑走ワックスをホットスクレーピングしようがベースバーンしない。

    ベースバーンした板にワックスをかけるとケバが見えなくなる。ワックスがのっているうちはケバはみえない。この状態を保つために必死になってワックスを何回もかける人がいるがそれは無駄だ。ケバは取らなければならない。ケバを取ってベースワックスを入れる必要がある。

    ケバを取らないで軟いワックスでクリーニングすればケバはどんどん進行する。ケバを取らずに硬いベースワックスを入れるとベースバーンは進行しないが直ることはない。バーンが軟かったり距離を乗らなかったりしてケバが見えるようにならないときもあるがそれはたまたまであって、ケバが取れたわけではない。何度もワクシングするうちにスクレーピングやナイロンブラッシングでラッキーにケバが少しづつ取れることもあるが、白く見える状態でブロンズでやればすぐ取れるし取れたのを確認できる。

    しつこいが、万が一ベースバーンしたときの対処。

    滑走後の状態でブロンズブラシで白いケバを全て取り除く。その後普通にベースワックスからワクシング。

    *アルペン用板の場合、エッジが丸くなってしまうのでブロンズブラシは使わないほうがいいという意見がある(C. D. 店主談)。いちいちエッジを調整すればいいかもしれないがそれもまた面倒。しかし、この店主のショップの選手の板はベースバーンしていた。それでも速けりゃそれでいいが、ベースバーンしてなきゃもっと速いはず。

    *ブロンズで取れない場合はストーン→ベースプレップ


    クロカンとアルペン

    アルペンのレースはある程度の速度でせいぜい2 km位を滑走する。ワックスはコース上のもっともスピードの落ちる、たいていは緩斜面に合わせる。極論すれば、財布にさえ余裕があればレースのワックスはササハラワックスで十分だが、むしろ気をつけるべきは練習時のワックスだ。練習時に雪面で滑走面を磨いて滑走性を上げ、本番用ワックスの乗りを良くするためにワックスを切らしてはいけない。

    私のクロカンの速度は0〜60 km/hくらいである。特に長距離レースの場合は、気温・湿度・雪温・雪質はあるコース上でも時間や場所で変わる。朝の日陰の上りにあわせれば昼の日なたの下りでごぼう抜きされる(そんなに時間がかかるのがそもそも問題という説もある)。昼の日なたの下りにあわせれば朝の日陰の上りで死ぬ。そこで、全温度対応ワックス(ユニバーサルとは違うとメーカーではいっている)を試している。特定の雪質でピーキーに滑ってもあまり意味がなく、コース上のいかなる雪質でもそこそこ滑ることが重要である。


    スクレーパー

    最近は全部暖かいうちにワックスを剥いでいるのでどうでもいいのだが、もしか研ぎたいときは、手のひらサイズでいくつかの砥ぎ口があるセラミクス製と思われるシャープナーで研ぐとよい。程度にもよるがあまりひどくならないうちに研げば、ピュッ、ピュッとやるとギンギンになる。何回か研いでいると真ん中がへこんでくるので、まっすぐな木の上にサンドペーパーを広げてギコギコとフラット出しする。この作業を「研ぐ」と称する人もいるが私の場合は下手なのか、面倒な割にはあまりギンギンにはならない。

    SWIXの、やすり(スキー業界ではなぜかファイルという)みたいなシャープナーもある。買ってみたが、何の役にも立たなかった。実績で一年でホルメンのシャープナーがだめになってVitorraに買い換えた。どちらも使い勝手は一緒。

    なお、(特にアルペンの)スクレーピングには軍手が必須である。軍手を使うと指の負傷を気にせず力が入る。

    全温度対応ワックス

    Hertel, Super Hot Sauce, FC739, White Gold

    ドミネーターズームなど

    コールドパウダー

    SWIX CH3

    日本精蝋FNP-0115など


    決戦ワクシング

    いくら手間をかけてもよいという場合は以下を試してみてください。

    あなたのベースワックスをCH4とします。滑走ワックスをCH8とします。CH4を2回くらい塗った後、CH6→CH7→CH8と塗りこみます。CH6-LF7-HF8とか、CH6-CH7-LF8-HF8とか、CH6-CH7-CH8-LF8-HF8とかフッ素は好きなように入れてください。とにかくベースからだんだん柔く、最終的に雪温にあった柔らかさまで行くのがミソです。

    レース中にエッジ際のワックスは消耗します。普段のワクシングなら滑走ワックスが消耗したあとはベースワックスでもたせますが、今回であれば、消耗度合いによりCH7、CH6、CH4でもつことになります。圧力が高いほど消耗が大きく、硬いワックスでもたせる、つまり、自動的に最適なワックスが現れるということになります。なお、もしか雪温がCH7になってしまった場合も、エッジ際以外の部分で速やかにCH8が消耗しCH7が現れるので被害は最小限ですみます。雪温がCH10になってしまった場合は、それなりに現場で対処しましょう。


    *参考資料

  • ワックス研究所
  • 超速いフッ素ワックスの作り方(リンクが切れた場合は"surface tension" detergent "ski wax"あたりで検索を)
  • Tognar Toolworks
  • RACEWAX.COM
  • The Race Room
  • 藤井徳明(2001):スノーボードの科学、スノーボード日本編集部
  • ホットワックス入門
  • その他ワックス販売各社ホームページ

    *参考にならないかもしれないリンク

  • カシワックス
  • ササハラワックス
  • スキーのワックスがけは無駄ですわよ。
    * 上記記事の原著Leonid Kuzminの論文
  • ワックスをかけないほうがよく滑るという人のブログ
  • Tuning Column

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